バスケットボールのインテグリティー | 保護者向けガイド
このガイドは、埼玉県西部地区(朝霞市、和光市、志木市、新座市)でミニバスケットボールやバスケットボールに携わる保護者の皆様に、「インテグリティー」の重要性と保護者としての役割について理解していただくために作成されました。子どもたちがバスケットボールを通じて健全に成長するために、保護者の皆様の協力が不可欠です。
「バスケットボールを通じ、スキルアップだけを目指すのではなく、主体的に楽しみながら継続的に活動することで、人間力や協調性、リスペクトの精神といった社会性などを養うことができる」
日本バスケットボール協会(JBA)

インテグリティーとは
インテグリティーとは、誠実さ・真摯さ・高潔さの精神を意味します。バスケットボールにおいては、フェアプレーの精神を持ち、他者を尊重する姿勢が重要です。
日本バスケットボール協会(JBA)の取り組み
JBAは2019年より「クリーン・バスケットボール、クリーン・ザ・ゲーム」というメッセージを掲げ、暴力・暴言をはじめとするすべてのハラスメントのないバスケットボール界を目指しています。
JBAが定義する「クリーン・バスケットボール」とは、バスケットボールファミリー全員の協力によりバスケットボールの価値を高めるための「オフコートでのあり方」を示し、「クリーン・ザ・ゲーム」とは、試合に関わるプレーヤー、コーチ、審判すべての協力で試合の価値を高めるための「オンコートでのあり方」を示しています。
保護者の役割と期待される行動
子どもたちのスポーツ環境をより良いものにするために、保護者の皆様には以下のような役割が期待されています:
- 子どもの自主性を尊重する:子ども自身の判断や意思決定を尊重し、指示命令ではなく、自ら考える力を育てましょう。
- 応援と声かけのマナーを守る:励ましの言葉を中心に、相手チームや審判に対して敬意を払った応援を心がけましょう。
- 成長のプロセスを大切にする:勝敗だけでなく、努力や成長のプロセスを認め、褒めることを大切にしましょう。
- 指導者との信頼関係を築く:指導者の方針を尊重し、建設的なコミュニケーションを心がけましょう。
- 良い見本となる:保護者自身の言動や振る舞いが子どもたちのマナーや礼儀に影響します。良い見本を示しましょう。
試合観戦・応援時のマナー
望ましい応援
- 「頑張れ」「ナイスプレー」など肯定的な言葉
- 両チームの良いプレーを称える
- 拍手での応援
- プレー後の励まし
- チーム全体への応援
避けるべき言動
- 相手チームへの中傷や批判
- 審判への不満や抗議
- 指導者の指示と異なる指示
- プレーの細かい指示
- 子どもを比較する発言
※ 試合中の暴力的行為および暴言は、JBAの規定によりテクニカルファウルの対象となります。
子どもの主体性を伸ばすサポート
子どもたちが自ら考え、判断する力を育てるために、以下のような関わり方を心がけましょう:
調和的情熱(ハーモニアス・パッション)で接する
子どもたちと接する際は、お互いにコミュニケーションを取り、尊重し信頼し合う関係を築くことが大切です。一方的な指示やプレッシャーではなく、共に努力し成長する姿勢が重要です。
- 「何がうまくいった?」と質問する:子ども自身に考えさせる機会を作ります
- 「次はどうしたい?」と聞く:目標設定を自分でできるよう促します
- 「あなたのプレーを見るのが楽しい」と伝える:結果ではなく取り組む姿勢を評価します
- 「今日の練習でどんなことを学んだ?」と聞く:自己評価の機会を作ります
保護者会の役割
保護者会は、チームの円滑な運営をサポートするとともに、子どもたちの健全な成長環境を作る重要な役割を担っています。
- 指導者とのコミュニケーション窓口
- 試合や遠征のサポート体制の構築
- 保護者間の情報共有と協力体制の確立
- チーム運営の課題解決に向けた話し合い
- 健全なチーム文化の醸成
保護者会では、インテグリティーの精神を理解し、保護者同士が協力してチームの価値を高められるよう話し合いを行うことも大切です。
U12・U15コーチの方針
コーチの約束
- 指導方針:暴言や過度な叱責を用いない、人格を尊重した指導を行います。全ての選手に公平な機会と評価を提供します。
- 保護者との関係:定期的なコミュニケーションの機会を設け、選手の成長に関する情報を適切に共有します。
- 問題発生時の対応:選手間・保護者間のトラブルに対して中立的な立場で対応します。必要に応じて個別面談や関係者会議を設定します。
年代別の特別な配慮
U12(12歳以下)
- 楽しさと基本スキルの習得を重視
- 全員が均等に出場機会を得られるよう配慮
- 温かい応援と励ましの環境づくり
- 子どもの自己肯定感を育む言葉かけ
U15(15歳以下)
- 個々の技術向上と戦術理解の深化
- 競争意識と協調性のバランス
- 思春期特有の心理的変化への配慮
- 自律性と責任感を育む機会の提供
保護者間のトラブル予防と解決
- 予防的取り組み:シーズン開始時のミーティングでの期待事項の明確化、定期的な情報共有と意見交換の場の設定
- トラブル発生時:まず当事者間での冷静な対話を促し、解決が難しい場合はコーチまたは保護者会代表に相談
- 配慮事項:選手の前での議論は避け、子どもたちに悪影響が及ばないよう配慮する
よくある質問と回答
試合中に子どもへアドバイスしてもいいですか?
試合中のアドバイスは基本的に指導者に任せましょう。試合後に「楽しかった?」「どう感じた?」など、子ども自身の感想を聞くことをおすすめします。
審判の判定に不満がある場合はどうすればよいですか?
審判の判定には従いましょう。判定への不満を表に出すことは、子どもたちに悪い影響を与えます。判定は試合の一部として受け入れる姿勢を見せることが大切です。
子どもの成長が遅いと感じる場合はどうすればよいですか?
子どもによって成長のスピードは異なります。他の子と比較せず、その子自身の成長を認め、励ましましょう。指導者と相談したい場合は、個別に時間を設けてお話しすることをおすすめします。
インテグリティーに反する行為を見かけた場合はどうすればよいですか?
まずは冷静に対応し、必要に応じてチームの代表者や保護者会の役員に相談しましょう。直接的な対立は避け、建設的な解決を目指すことが大切です。
指導者の指導方法に疑問がある場合はどうすればよいですか?
まずは個別に時間を設けて、指導者と率直に話し合うことをお勧めします。批判ではなく、子どもの成長に関する建設的な対話を心がけてください。複数の保護者で同様の懸念がある場合は、保護者会を通じて議題として提起することも検討してください。
まとめ – 子どもたちのために
バスケットボールのインテグリティー(誠実さ・真摯さ・高潔さ)を守ることは、子どもたちがスポーツを通じて人間的に成長するために欠かせません。保護者の皆様の理解と協力により、子どもたちは単に技術だけでなく、人間力や協調性、リスペクトの精神を身につけることができます。
「バスケットボールは単なるスポーツではなく、人生の学びの場です。私たち大人がインテグリティーの精神を示すことで、子どもたちはその姿から最も大切なことを学びます。」
共に創ろう、クリーンでフェアなバスケットボール環境を!
本資料は日本バスケットボール協会(JBA)のインテグリティーに関する取り組みを元に作成されています。